プリザーブドフラワーとはどんなお花なのか、お花の特徴やその歴史、保管する際の注意点などについてまとめました。
目次
- プリザーブドフラワーとは
- プリザーブドフラワーの歴史
- プリザーブドフラワーの作成方法
- プリザーブドフラワーメーカーについて
- プリザーブドフラワーの特徴と取り扱いの注意点・保存方法
- プリザーブドフラワーブーケのメリットとオーダーの際の注意点
- プリザーブドフラワーの価格
プリザーブドフラワーとは
プリザーブドフラワーとは、 英語で「preserved(保存する)」という意味からつけられた名前です。よく「ブリザードフラワー」や「プリザードフラワー」などと間違えられますが、正しくは「Preserved Flower」、プリザーブドフラワーになります。
プリザーブドフラワーは生花に特殊な加工を施し、半年~数年は生花さながらの状態を楽しめるお花です。(保存方法やまわりの環境、またメーカーや色によっても楽しめる期間は変わってきます。適切な保存方法については後述します)
もともとは生のお花なので、造花とは違い一輪一輪花びらの枚数や咲き方が違うのが特徴です。 生花のように瑞々しくソフトな質感を持ちながらも、水やりなどの手間がなく長い間美しい花姿をお楽しみいただけることから、近年ブライダルブーケとしても人気が高まっています。
ドライフラワーとの違いは、「水分を含んでいる」ところです。水分を含んでいるためドライフラワーのようにパリパリとせず、手触りも生花と同じようにしっとりと柔らかく、とても繊細なお花です。
見た目は生花とほとんど変わらず、それでいて枯れることもなく美しいお花の状態を保つことができます。
プリザーブドフラワーは本来のお花の色ではなく着色を施しておりますので、生花にはない鮮やかなブルーやブラックなどの色を楽しむことができるのも魅力です。特にサムシングブルーとして要望の多いブルーのバラは、プリザーブドフラワーならでは!当店でもブルーのバラを使ったブーケは人気です。
染料は食用の着色料など人体に安全な成分でできておりますが、小さなお子様やペットが誤って口に入れてしまわないよう気を付ける必要があります。
プリザーブドフラワーの歴史

プリザーブドは「葉」にグリセリンを吸わせ、長くもたせることが加工の始まりです。
―――Florever HPより引用
その手法は20年以上前から取り入れられていましたが、現在のように色を入れるものではなく
自然な色をそのまま活かすものでした。
その後ベルギーでバラの加工技術も開発され色を吸わせたプリザーブドフラワーが生まれました。
プリザーブドフラワーの開発に世界で初めて成功したのが、フランスのヴェルモント社です。
1991年にそのヴェルモント社が世界特許認定を取得し、その後日本にプリザーブドフラワーが普及し始めたのは1990年代後半と言われています。
誕生したのはヨーロッパですが、ヨーロッパでは生花産業が盛んなため、プリザーブドフラワーは生花の代わりというよりもアートとして楽しまれる側面が強かったようです。
日本で普及した背景には、「水やりがいらない」、「枯れずに長く楽しめる」といった部分からフラワーギフトとしての需要が大きかったようです。
近年では、挙式後も飾れることからブライダルブーケとしての需要や、水やり不要といった部分からご年配の方向けに仏花としての需要も高まってきています。
プリザーブドフラワーの作成方法

プリザーブドフラワーは、生花の水分をプリザーブド液と交換することによってバクテリアの繁殖を抑え、生花のようなみずみずしい状態を長期間楽しむことができるよう開発されました。
一般的な作成方法は以下のようになります。
②元のお花の色を脱色する
③特殊な保存液+着色液につける
④色が十分についたら取り出し、乾燥させる
プリザーブドフラワーに加工するお花は、できるだけ新鮮な方が質の良いものが出来上がります。
お花の種類によってプリザーブド加工に向くお花と向かないお花があり、花びらの薄いものや大きいお花は加工が難しいため、生花や造花に比べるとお花の種類は少なめです。
市販されている専用の溶液を使用すれば自分でプリザーブド加工をすることも可能ですが、一定の質以上のものを作成するのは難しいので、市販されているプリザーブドフラワーを購入してアレンジやブーケを作成するのが一般的です。
プリザーブドフラワーメーカーについて

市販されているプリザーブドフラワーは、いくつかのメーカーから発売されています。メーカーによって発売しているお花の種類や色合いが異なり、それぞれ特徴があります。ここでは代表的なメーカーを6社ご紹介いたします。
当店のプリザーブドフラワーブーケは主にフロールエバーと大地農園のお花を使用しています。
フロールエバー
フロールエバーではコロンビア産のローズを使用しています。加工に使用される生花は、工場周辺の専用農園で丹念に育てられ、独自の技術でプリザーブドフラワーに加工されます。
花びらの巻きが美しく瑞々しいのが特徴で、花びらに厚みがあり破れにくいのでウェディングブーケに適しています。
着色料には食品にも使用されているオーガニックなものを使用しているので、安全性が高いのが特徴です。
大地農園
大地農園は日本のメーカーということもあり、日本人好みの淡い色合いが豊富にそろっているのが特徴です。プリザーブドフラワーの加工に使用するお花は世界各国から輸入し、自社工場で加工してプリザーブドフラワーを作成しています。
様々な種類のお花や季節限定のお花なども発売されており、人気のオールドローズやガーベラ、ジャスミンなどはこちらのメーカーから発売されています。
プリザーブドフラワー以外にもドライフラワーやグリーン(葉っぱ)の種類も豊富です。
アモローサ
アモローサはエクアドルで生産・加工を行っています。
大輪のバラをメインに展開しており、ベルベット調の手触りや厚みがあり丈夫な花びらが特徴です。赤など濃い色味が特に美しく高級感があります。
他メーカーと比較して価格は高価で、高級ギフトにおすすめです。
ヴェルディッシモ
ウェルディッシモは、1988年にパリで誕生したプリザーブドフラワーメーカーです。主にエクアドル産のお花を使用しています。
独自のブリーチ技術を持ち、発色が良いのが特徴です。
ヴェルモント
ヴェルモントは世界で初めてプリザーブドフラワーの開発に成功した老舗メーカーです。
ローズリーフやラムズイヤーなどを始めとしたプリザーブドリーフ類が豊富にそろっています。バラは他社に比べてマットな色合いなのが特徴です。
ロザヴィ
コロンビア産とケニア産のローズを主に取り扱っています。
淡い色合いが多く、アレンジに使いやすいサイズ感が人気です。
独自の安心サポートがあり、不良品があった場合の対応も安心です。
プリザーブドフラワーの特徴と取り扱いの注意点 ・保存方法
生花のように枯れることもなく、生花さながらの状態を長く保つことのできるプリザーブドフラワーですが、周りの環境によって保存できる期間が左右されます。
プリザーブドフラワーの特徴と、取り扱いの際の注意点についてまとめました。
プリザーブドフラワーの特徴について
- 生花のように水やり不要で、長い間美しい状態を楽しむことができるので、生活に手軽に取り入れることができる。
- ドライフラワーのようにカサカサせず、生花のようなしっとしとした手触りは造花よりも優れている。
- 生花のように茎がない状態で出回っているのが一般的。(最近では茎のあるプリザーブドフラワーも発売されている)着色しているためガクの部分もお花と同じ色に染まっている。
- 色は着色しているので、生花にはない色を作ることができる。ブライダルブーケにはサムシングブルーとして生花にはない水色のバラが人気。
- 花粉がないため、アレルギーのある人や、病院へのお見舞いとしても最適。
プリザーブドフラワーの取り扱いの注意点 と適切な保存方法
- 花びらはとても繊細なため、乱暴に取り扱ったり強い衝撃を与えないようにする。
- 湿気に弱いため、保管の際は湿度に気をつけるようにする。湿気が多い場所に長期間置いておくと、花びらが半透明になり戻らなくなります。
- 乾燥も嫌いますので、エアコンの風などが直接当たらないように注意する。花びらのひび割れの原因となります。
- 紫外線の影響で色の退色が早くなってしまうため、直射日光の当たらない場所に飾るようにする。
- 濃い色は色移りしやすいので、家具や壁に触れないように気をつける。また、薄い色のお花と濃い色のお花が触れると色移りしてしまいます。
- そのまま飾っておくとどうしてもホコリがついてしまうため、ケースの中に入れたり、ガラスキャビネットの中に飾るようにすると長持ちする。ホコリがついてしまった場合は触らずに、ドライヤーの冷風を弱く当てたり、そっと息を吹きかけるなどしてホコリを飛ばすようにする。
保管方法の注意点については、こちらの記事で詳しく解説しています。
プリザーブドフラワーブーケのメリットとオーダーの際の注意点
プリザーブドフラワーブーケのメリット
1. とても軽い
プリザーブドフラワーブーケはとても軽くて持ちやすいのがメリット。生花ブーケは水を必要としますので、どうしても重さが出てしまいます。
慣れないドレスを着た状態で重さのあるブーケを持って歩くのは想像以上に大変!プリザーブドフラワーのブーケでしたらそういった心配もありません。
2. 何回も使用が可能
プリザーブドフラワーのブーケは保存がききますので、前撮りのある花嫁さまや海外・リゾート挙式の花嫁さまにも人気です。
1つのブーケで何回も使用が可能ですので、費用を抑えることにもつながります。
3. 使用後もそのまま手元に残せる
生花ブーケは挙式当日だけのものですので、思い出に残そうと思うと押し花加工やドライ加工等が必要となり、当然費用もその分かかってしまいます。
プリザーブドブーケはご挙式後もそのままインテリアとして飾ることができますので、手間要らずでとっても楽。ブーケを見る度に楽しかったお式のことが思い出されます。
よりコンパクトなアレンジにアフターブーケ加工して飾る花嫁さまも増えています。
4. 色合いが自由自在
プリザーブドフラワーは元々のお花の色ではなく、着色を施して作成されています。そのため生花にはない鮮やかなブルーやブラックなどの色を楽しめるのが魅力のひとつ。
特に淡い水色や濃いブルーのバラはプリザーブドフラワーならではの色合いなので、サムシングブルーとして花嫁さまに人気です。
5. 幅広いデザインが可能
リボンやチュール、フェザーなどといった異素材との組み合わせはプリザーブドフラワーならではのデザインです。花びらにスワロフスキーを付けてキラキラさせたり、流れるパールガーランドでエレガントさを出したり…
葉物を多用することで生花のような雰囲気のブーケにすることも可能です。
生花ではできないような、様々なデザインを楽しむことができるのもプリザーブドフラワーブーケの魅力です。
プリザーブドフラワーブーケの注意点

1. 色移り
プリザーブドフラワーは着色を施しているため、濃い色のお花と薄い色のお花が隣同士の場合、触れている部分から色移りしてしまいます。特に赤と白など、濃い色と淡い色の場合は色移りが目立ちやすくなります。
できるだけ色移りのしないようなデザインをご提案いたしますが、ご希望のブーケのデザインによっては多少色移りしてしまう場合もあります。
プリザーブドフラワーの性質上予めご了承ください。
2. お花が繊細
プリザーブドフラワーは生花を加工したものになるため、造花とは違いとても繊細です。花びらの先端を何度も触ると、花びらが切れたり破れたりといったことが起きる可能性があるため、お花にはなるべく触れないようにお気を付けください。
また、ブーケトス用のブーケの作成も可能ですが、お花がつぶれたり壊れたりといった可能性があるため、当店ではブーケプルズの方をおすすめしています。
3. お花の種類が少ない
プリザーブドフラワーは加工に向かないお花もあるため、生花に比べてお花の種類が少なくなります。ただし、高品質なアートフラワー(造花)とミックスすることにより、デザインの幅が広がります。
プリザーブドフラワーでは高価なカサブランカやプルメリアなどのお花も、造花を使用することによりお値打ち価格でお作りすることも可能です。
「造花だとなんだか安っぽくなりそう…」と心配される花嫁さまもいらっしゃいますが、近年では造花の質も上がっており、触らないと本物と見間違えるほど精巧なものも出回っています。
プリザーブドフラワーとミックスすることでより自然な見た目のブーケにすることが可能になるため、ご希望のお花がプリザーブドでご用意できない場合はぜひ造花の使用もご検討ください。
>>プリザーブドフラワーのお花の種類についてはこちら
4. 手直しについて
生花ブーケは打ち合わせから当日までどんなブーケが出来上がるのかを見ることはできませんが、プリザーブドフラワーは事前にブーケを確認することができるのがメリットです。
当店では、制作途中(リボンをつける前)の画像を一度花嫁様に確認して頂いてから、仕上げをしております。お花の配置の変更やグリーン(葉もの)の増減は一度まででしたら無料で手直しが可能です。(二度目以降の手直しに関しましては、追加料金を頂戴いたします。また、制作開始後の形・色・サイズなどの大幅な変更は基本的に不可ですが、どうしてもという場合は有料にて承ります )
花嫁様にご納得いただけるまで手直しができる点はメリットですが、何度も手直しを行いますとお花を痛める原因になってしまいます。
ご挙式当日に美しい状態のブーケをお持ちいただくためにも、ご要望はできるだけ打ち合わせの段階でお知らせ頂けますと幸いです。
プリザーブドフラワーの価格

プリザーブドフラワーは生花に加工を施して作成するため、生花よりも価格は高価です。どれ位値段に差があるのでしょうか?
お花の種類やメーカーによっても変わってきますが、一般的なバラですとプリザーブドフラワーは生花の約2倍の価格になります。生花では1輪300円のバラが、プリザーブドフラワーだと1輪600円になるということです。
それでも生花のお花の寿命が約1週間だとすると、プリザーブドフラワーは1年~それ以上持つためコストパフォーマンスは良さそうですね。
最近ではブライダルブーケにも人気のプリザーブドフラワーですが、高価なプリザーブドブーケでも式場の生花ブーケより安く手に入れることもできます。
当店ではできるたけ質の良いブーケを低価格でご提供できるよう努めております。